何か作ろうと思って適当なネタについて調査しているとよく壁にあたる。
特に航空機においては、”この装備品何?”といった具合に。
そんで悪あがきがてらたまーに形状把握のために描いてみたりして思いついたようにメモをついったに投げたりしている。先日はこんなのを描いていた。
が、ついに先日悪あがきに上記の装備についてツッコミが入ったので備忘録がてら記事にする。
発端は少し前になる。
その頃アグレスのF-16が作りたい病に罹患しており、折よくPMモデルから84-1418”Sniper”のデカールが入ったキットが発売されたのでそれを購入したことから始まる。
少々の時間が経ち、手元に余裕が少しあったので製作に必要な吊るし物を調べるか、となった。そこで57ATGの機体を色々見て、あまり見慣れない装備があることに気づく。
”このECMポッドみたいなの何?”と。それがトップのポンチ画である。
多くの機体はAN/ALQ-188(いわゆるデッド・ゲッコー)を装備しており、タミヤ1/48においても付属品となっている由緒ある(?)装備であるが、一部の機体は件のポッドを代わりに装備しているようで、これが何なのかパッと出てこず悩み、そしてパターン的に装備しなくてもいいとなった時点でメモだけ残し同定を放り出して寝た。
その頃には件のポッドについては”あの4本ツノマッサージ器に良さそうだな”くらいの考えになっていた。
そして翌日
— 新奇楼 (@mirage_pavilion) 2024年1月22日
ついったにメモだけ投げていたところ即ツッコミが入った。
相手は友人の廠柚子(@junkst1)氏からである。
曰く、”IAIのELL-8222ではないか”と。
まさかイスラエル製 IAI ELL-8222 ECMポッドについてご存じない方がいるとはね...!
— 廠柚子(しょうゆず) (@junkst1) 2024年1月22日
いや、この装備については少しばかり思い入れがありましてねぇ
製品ページhttps://t.co/T5lnVRcQxy
パンフレットhttps://t.co/ljlSzaYQxc pic.twitter.com/0JPfVRsAJO
大変ありがたい指摘で思わず心がブルートゥになってしまった。
感謝しますよ……ご友人!
該当のポッドは氏の作品でも大きく扱われていて、形状も件のポッドに特に胴体が似ていたので一瞬俎上に挙がったが、写真を見て4本ツノに見える時点でどう見てもELL-8222のナポレオンフィッシュみたいな顔ではないと除外してしまっていたのだ。
このELL-8212/8222(ほぼ同じな仲間)の曲者なところは、それそのもので調べてもあまり装備例が出てこないが、実はかなりの機体・組織が採用しているっぽいところである。後述のパンフを見ても結構な数の機種に搭載できそうであるのだ。少ない写真だけでもアメリカ製機材のみならずミラージュでもミグでもスホーイでもみんなこれを乗せていたのは印象的である。クソ電装なMiG-21すら装備していたくらいだ。
そして氏の作品で示されるようにインド空軍も採用している機材である。考えてみればIAI製品なら結構なところが買えるし買っていてもおかしくない。
官報を漁れば空自が検討していたみたいな資料だって出てきかねない(そこまでは手が回らないのでやらないが)
幸いに保管していた写真をよく見てみる。うーん……
やっぱりコイツELL-8222でいいかもしれない!(単純)
先端のアンテナはどうなの?という話だが、形状的に映る角度でちょっと違うように見えそうである。あくどい言い方をすれば「写真写りが悪い」であろうか。
ツノ無しのマッコウクジラのような派生(カバーだけ8212みたいなフラットタイプ?)はある様に見えるが、キモい4本ツノ派生があるわけでもなさそうだ。これは決着である。
ともかく、廠柚子氏には改めて御礼を申し上げたい。
そして紹介いただいたWEBページはついった上ではいつ消えるか分からないので(運営会社の人災的な意味で)バックアップの意も込めてこちらに掲載させていただく。
IAI製品ページ
https://www.iai.co.il/p/ell-8212-ell-8222
IAI商品パンフレット
www.youtube.comちなみに手元に立体物の参考になるものが無いかと、ハセガワとアカデミーのF-16Iを開けてみたがハセガワはそもそも9Lとタンクしか入っておらず、アカデミーはAN/ALQ-184が選択されていた。残念。
さて、決着したのはいいが前述したようにAN/ALQ-188装備パターンで作る、と決定してしまっていたのでとんだカラ騒ぎをさせることになってしまった。大変申し訳ない。
ちなみに下の図のパターン4がそれである。
パイロンを7か所使い見栄えがするし、何より目立つALQ-188とボロボロのセンタータンク(何故か当該個体のセンタータンクはどれもやたら塗装が剥げていた)が模型的に良いだろう、という判断である。
でも今思うと差し替えできるようにすればよくないコレ?(手のひら返し)
ちなみにここまで使用キットの話をしていないが、ハセガワのF-16CJ(D18)でいいだろう。今回予定の機体はBlock32であるが、このキットであればE/Gとインテークだけレトロなパーツにすれば、あとはC型系への手直し(バルカンスリット修正と最後部パネルモールドの追加)で問題ない。何ならパイロットが何故か3人付いてくるしHARMもAMRAAMもパイロンごと付けてくれるが、どういう訳かかAN/ALQ-184だけ付属しない。絶妙に対地ミッション装備が揃わない罠である。
AN/ALQ-184および188はウエポンセットVIIIに付属してはいるが何だか釈然としない……
なおアグレス機はインテークが通常であるのでタミヤCJ型からのコンバートは現実的ではない。惜しいところだ。
えっ?PMモデルの箱に入ってた奴を使わないのかって?あげるから君が使ってくれ。マジで。アレで作ってくれって言われたら泣く。苦行僧になった覚えはない。
そんなこんなで今日もおやすみ。
(おしまい)