すなばこ

気になるものは何でもかんでも

ヘイズグレーの怪

ズムウォルトの塗装の段に当たってふと思い至る。
「”US Navy HazeGray FS26270”って何塗ればいいの?」

 

迷走する塗装指定

 現用米海軍艦艇のメインカラーとなっているグレーと言えば通称「US Navy HazeGray」と称され、国内塗料メーカーが地味に出していないあの写真で見ると灰色で青だか青紫だかよう分からん色味のアレである。
単純に「ヘイズグレイ」であればタミヤTS-32が出ているが、なんかどう見ても青味が濃い。たぶん違う。


 そもそも同じ色を指定するハズなのに模型メーカーで指定カラーが違うのは稀によくある事である。
中には塗装指定カラーの根本的な検討が間違っているパターンも混在してやりにくい。

参考として、手元にある現用米海軍艦艇キットのヘイズグレー部分の指定は以下のようになっていた。

 

DML/DDG-1002 Lyndon B.Johnson

 C334(90%)+C31(5%)+C73(5%)

DML/LCS-10 Gabrielle Giffords

 C35

・フライホーク/CG-52 Bunker Hill&DDG-1000 Zumwalt

 C306 or XF-20

DML/CGN-9 Long Beach1980

 C35

・フジミ/DD985 カッシング&FFG45ド・ワート

 C307

 

なんじゃあこりゃあ。

 

そもそもFSカラーとはなんなのか?

 これがつまるところFederal Standard 595(連邦規格595)に則ったカラーテーブルである。調べてみると以下のサイトが出た。勉強になる。

en.wikipedia.orgwollcraft.com

連邦規格のルールから言えば番号からある程度推測できる。というかそもそもがカラーチップの集まりであるから番号に対する色は明確に指定されている。

で、先に紹介したサイトでも言及されている事だがクレオスのFS系カラーのナンバーは「全て頭が3からになっている」。
つまり実際の塗料のツヤを無視して勝手にグロス指定の番号になっている訳だが。
クレオスの”FS36370”があればそれを半艶にするだけでFS26270になるわけだ!
あるじゃないか、"C306 グレーFS36270”だ!

フライホークの指定カラー!!

 

「並べた方が話が早い」

 つまるところ、規格上はC306を使うのが正しいといえる。その線から言えばフライホークの指定は妥当と言える。

 

が、そうはいっても物は試し。FS26270のカラーサンプルとクレオスのWebページから確認できるC306のカラーサンプルを比較してみる。

www.federalstandardcolor.comwww.mr-hobby.com

似てねェ!ぜんぜん似てねェぞこれ!!

誰かAMS(FED)-STD-595(現行の規格)のカラーチップの現物持ってきてくれ……

 

優先すべきはなんだろう?

 あれこれやってきたが、そもそもこれは模型の話だ。

これは極端な持論なので大声で言えないが、なんであれ模型の色なんて雰囲気があっていればいいのだ(どうか怒らないでほしい)。

真面目に考えてもスケールエフェクトだとか空気遠近法とかが絡むと「写真で見たあの機体、あの艦艇の色、印象」と「その機体、艦艇に実際に塗られている色(近づいて見たときの色)」が全然違うなんてことはままある話だ。

 

まさに今年の頭の話になるが米空軍のF-15現行塗装に関する塗料がクレオス(C394&C395)とガイアノーツ(TL-004&TL-005)から発売されたが、クレオスは”連邦規格に則った色”でガイアノーツは”写真で見た印象を再現した色”というアプローチの違いがあるようだ。メーカーが現実にこうやって商品を出しているから相当に根の深い話であるし、実際あのカラーは写真映りによってひどく印象が異なる。

だから「好きなの選んであとはユーザーで勝手にやってくれ!」、というのがメーカーとしての模範解答かもしれない。いや部外者だからしらんけど。

 

 つまりC306を塗ろうが、キットの塗装指定に素直に従おうが、輸入塗料に頼ろうが、果ては我が道を邁進せんと独自に調色しようが、最終的な雰囲気が合ってれば別にどうだっていいという事である。

話をここにきてちゃぶ台返しすんなって?俺の模型は完成品が正義なんだよ。

まあ当然ながら雰囲気が合ってなければ何を塗ってたって駄目である。誰がなんと言ったところでダメだったらもうそれはダメである。

 

すると、

 

これまでの時間は何だったんだ?

 

 

 

最終兵器☆買っておいた専用塗料

 直接「この色です!」と指定された輸入塗料があれば考えることを減らせる可能性がある。なんたってFS26270を名乗る専用塗料だからだ。でもそんなものどこにある?

ここで登場するのがライフカラーの米海軍セットである。

水上艦艇と潜水艦の主要なカラーを抑えるイカした6色セット。

イタリアからやってきた水性アクリル塗料だ。

以前に米海軍艦艇塗装のためと考えて何年か前にHSにて脳死で買ってたものだがここにして活きてくる。

実のところ、これが本当に妥当なのかどうか疑いをぬぐい切れずグダグダ調べてきたのが今回の事の発端のひとつであったのだが。でも別に雰囲気があってりゃいいじゃないか、それらしいのでいいじゃないか、という結論に至った今遠慮なく頼ることができる。

本当にこれまでの時間は何だったんだ。

 

いや規格に則った正しい色を把握しておくのは大事なことだけどさ……

うるせー!!!もうやってられっか!!!!!ヴァーカ!!!!!!!!(キチゲフルカスタム)


※生きてたらC306とライフカラーの比較を後で載せておきます

 

※240425追記

比較画像

だいたい同じ

色味はだいたい同じ。盤外になるがライフカラーはエアブラシとの相性はちょっと微妙かもしれない。

 

結論:こだわり無ければC306でええやん

 

(おしまい)